日本大百科全書(ニッポニカ) 「イギリスの戦い」の意味・わかりやすい解説
イギリスの戦い
いぎりすのたたかい
Battle of Britain
第二次世界大戦中、1940年7月から翌1941年6月までの、ドイツ空軍によるイギリス攻撃に対するイギリス側の抗戦。ドイツは1940年6月にフランスを降伏させ、さらにイギリス上陸作戦の前哨戦(ぜんしょうせん)としてイギリス空襲を開始した。当初はイギリス空軍基地を中心に爆撃が加えられたが、9月初めからは爆撃の重点が都市に移り、ロンドンやコベントリーなどの都市が大きな被害を被った。しかし、イギリス側が新兵器のレーダーを用いてドイツ機の侵攻経路を知り、激しく反攻したため、ドイツ軍のほうがより多くの飛行機を失うことになった。イギリス首相チャーチルは、「人類の争いの場で、かくまで多くのことを、これほど多くの人々が、これほど少数の人々に負った例は過去にない」と、イギリスの飛行士を賞賛した。空襲にあった人々は、地下鉄の駅を仮の住居にするなど、苦しい生活を強いられたが、イギリス国民の士気はくじけず、ドイツはイギリス侵攻の野望を達成しえなかった。
[木畑洋一]