山川 世界史小辞典 改訂新版 「イギリス領ビルマ」の解説
イギリス領ビルマ(イギリスりょうビルマ)
British Burma
1826年に併合したアラカン,テナセリムの両地方に,53年ペグー地方を加え,86年に上ビルマを併せて完成したイギリスの植民地。狭義には62~85年の時期をいう。1942~45年の日本占領期を除き,1948年1月4日まで続く。1897年にインドの一州となり,1923年に両頭政治制度が導入され,ついで37年にこれから分離し,ビルマ総督の管理下となる。王朝時代と異なり,地租が導入され,行政区画の整備により,中央集権体制が確立する。19世紀中期以降下ビルマ・デルタ地帯は稲田として開発され,ビルマ全体がスリランカや海峡植民地の食料供給基地として機能するようになる。植民地的経済開発は,在地農民の窮乏化とインド人の流入をもたらし,1920年代以降米穀経済の悪化は,両者の対立をも引き起こした。さらに住民を民族ごとに分離する政策は,独立ビルマの政治に大きな影を落とすことになる。また42年6月から45年3月にかけて日本軍政下に入り,社会や経済は壊滅的打撃を受けた。
出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報