山川 世界史小辞典 改訂新版 「イスラームの学問」の解説
イスラームの学問(イスラームのがくもん)
イスラーム世界の伝統的な学問観は,諸学問をアラブ起源の学問(固有の学問)と異民族起源の学問(外来の学問)とに分類する。前者は法学,ハディース(預言者ムハンマドの言行録)学,神学,文法学,書記学,詩学・韻律学,歴史学など宗教やアラビア語に関係する諸学である。後者はギリシア文明などから継承し発展させた哲学,医学,天文学,数学,音楽理論,錬金術などである。これらの学問の担い手は,得意とする分野に応じてアーリム(複数形ウラマー,宗教諸学),ハキーム(哲学系)などと呼ばれた。伝統的なイスラームの大学者には,この二つのカテゴリーの双方にわたって学を修めた者が少なくなかった。
出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報