イチョウシダ(読み)いちょうしだ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「イチョウシダ」の意味・わかりやすい解説

イチョウシダ
いちょうしだ / 銀杏歯朶
[学] Asplenium ruta-muraria L.

チャセンシダ科の小形の常緑性シダ。塊状根茎から若いときは単羽状の葉が出て、大きくなると2回羽状の葉が束生する。裂片はイチョウ形。胞子嚢(ほうしのう)群は線形で裂片の中央に集まる。日本各地の山地の石灰岩上にまれに産する。

[西田治文]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「イチョウシダ」の意味・わかりやすい解説

イチョウシダ(銀杏羊歯)
イチョウシダ
Asplenium ruta-muraria

チャセンシダ科の常緑性シダ植物。石灰岩地帯に生育し,北海道から九州と,ユーラシア大陸の温帯に広く分布する。根茎は斜上し,披針形黒褐色鱗片をもつ。葉は長さ 5cm前後で,葉身は2回羽状,小羽片はイチョウの葉のような形をしており,胞子嚢群は線形。

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世界大百科事典(旧版)内のイチョウシダの言及

【石灰岩植物】より

…これらの地域はそれぞれに各種の石灰岩植物を有している。イチョウシダは北半球の温帯に広く分布する石灰岩植物であるが,多くの種ではふつう分布域はせまく,1山系に固有であるものが少なくない。たとえば,キバナコウリンカやチチブイワザクラは秩父地方,カワラウスユキソウやシライワコゴメグサは南アルプス,イワヤクシソウやヤマトレンギョウは阿哲地方,ヤハズマンネングサは高知県にそれぞれ固有である。…

【石灰植物】より

…石灰岩地帯にはほとんど分布しない植物を嫌石灰植物calcifugeというのに対して,好石灰植物ともいう。分布のしかたからみて,石灰植物にはイチョウシダ,クモノスシダのように石灰岩地帯には広く分布するが,それ以外ではみられず,石灰岩地帯に限られるものと,イワシデ,ヤマシャクヤクのように石灰岩地帯に多いが他の母岩にもみられるものがある。石灰植物のうちトダイハハコ,シライワコゴメグサなどは近縁植物とは変種程度の差しかなく石灰岩地帯で比較的新しく分化したものと考えられるが,チチブミネバリのように近縁植物がみられないものは分化が古いと考えられる。…

※「イチョウシダ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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