イットリウムアルミニウムガーネット(その他表記)Yttrium Alminium Garnet

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 の解説

イットリウムアルミニウムガーネット
Yttrium Alminium Garnet

固体レーザーの母体材料として使われる立方晶系ガーネット型構造をもつ結晶YAG (ヤグ) と略称される。 Y3Al5O12 で表される組成をもつ。 YAG結晶に3価の希土類ランタニドイオンを添加し,これらのイオンの励起準位間の遷移発光を利用してレーザー光をつくる。特にネオジムイオン Nd3+ を添加した YAG:Nd3+ はスペクトル線幅が狭く量子効率の高いケイ光線をもち (1.06μm 線が最も強い) ,さらに光学的均一性の優れた結晶が得られるので,レーザー発振に要する励起入力がきわめて低く,優れたレーザー用材料となる。また熱伝導率も大きいので水冷により容易に連続発振も可能である。ヤグレーザーは加工用,医療用などに広く使われている。

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化学辞典 第2版 の解説

イットリウムアルミニウムガーネット
イットリウムアルミニウムガーネット
yttrium aluminium garnet

Y3Al5O12.略称YAG.Nd3+ をドープしたものが固体レーザー用母体としてよく使用されている.YAG:Ndは励起されると1.064 μm の赤外光のレーザーを出す.レーザー加工のような工業用途あるいは医療用途に併用される.結晶はおもに結晶引上げ法によってつくられる.また,YAGは屈折率が大きいので,ダイヤモネアなどという名称人造宝石としても用いられている.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

世界大百科事典(旧版)内のイットリウムアルミニウムガーネットの言及

【宝石】より

…これらの人工結晶は必ずしも天然宝石の再現でなくても,美しくかつ硬度があれば合成宝石としての用途をもつことになる。ダイヤモンドの代用石として広く普及をみたイットリウム・アルミニウム・ガーネットYttrium Aluminium Garnet(略称YAG(ヤグ))やキュービック・ジルコニアなどはその例である。宝石合成技術の20世紀のハイライトともいうべき,人工ダイヤモンドの成功は,55年春,アメリカのゼネラル・エレクトリック(GE)社による超高圧・高温の条件下での合成法である。…

※「イットリウムアルミニウムガーネット」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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