ボナベントゥラの著書で,神へいたる精神の旅の意。 1259年の作。全集5巻のうち 23ページほどを占める小著であるが,Quomodo homo per alias res tendat in Deum? (いかにして人は他の事物を通じて神へ向うか) を論じたものとして著名。感覚的世界は第1原理たる神がみずからを表明すべくつくったものであり,精神は,いわば三位一体が読まれるべき書物としての宇宙を手掛りとして,神に祈りつつ神への道を歩むべきものである。精神は世界のなかに神の形跡を認め,次に神の影像であるみずからの魂へと向き直り,神の照明のもとにその存在を知り,さらに存在の彼岸なる善そのものの観照によって三位一体の玄義に触れる。この精神の旅は自己自身を超出してゆく過程 excessus mentisであり,終局的には神のうちに安息することである。この旅を成就させるのは学識ではなく神への祈り,愛にほかならない。