日本大百科全書(ニッポニカ) 「イネカメムシ」の意味・わかりやすい解説
イネカメムシ
いねかめむし / 稲亀虫
稲椿象
rice stink bug
[学] Lagynotomus elongatus
昆虫綱半翅(はんし)目カメムシ科に属する昆虫。別名イネカッショクカメムシ。本州以南の各地、および東南アジア、インドに分布し、体長12~13ミリメートル。体はほぼ長楕円(ちょうだえん)形で、一様に淡褐色であるが、前翅の前縁が白色を帯びる。年1回発生し、成虫で越冬ののち、イネの出穂期に水田に集まり、1回に14粒の卵を2列に並べて産卵する。8月末から新成虫が現れる。成虫、幼虫ともにイネの穂を加害し、斑点米(はんてんまい)や花がついても種子ができない不稔(ふねん)粒をつくる著名な害虫である。かつては茨城、千葉、愛媛、高知、熊本の各県でとくに多発したが、1950年(昭和25)ごろからは目だった発生がなく、あまり問題視されなくなっている。
[立川周二]