日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
イリオモテキクガシラコウモリ
いりおもてきくがしらこうもり / 西表菊頭蝙蝠
Iriomote horseshoe bat
[学] Rhinolophus imaizumii
哺乳(ほにゅう)綱翼手目キクガシラコウモリ科の動物。沖縄の西表島に分布する。頭胴長約5センチメートル、前腕長4~4.5センチメートル、翼開長25センチメートル。キクガシラコウモリとコキクガシラコウモリの中間の大きさで、耳介が幅広く、体上面が濃い褐色である。前2種に比べると顔の中央にある鼻葉が著しく異なるのが特徴で、本種の鼻葉の中央突起の先端はとがり、側面からみると後方にくぼみ、角(つの)状を呈する。上あごの犬歯の基部は太く、臼歯(きゅうし)も大きい。西表島の東部や西部の洞窟(どうくつ)、海食洞に20頭ほどの小群、ときに大群で生活する。日中は洞内で過ごし、日没と同時にねぐらを離れ、森林などで採食する。6月上旬に1子を出産する。
[吉行瑞子]