日本大百科全書(ニッポニカ) 「ウズベク・ハン」の意味・わかりやすい解説
ウズベク・ハン
うずべくはん
Özbeg Khan
(1300―1341)
チンギス・ハンの孫バトゥが創建したキプチャク・ハン国の第9代君主(在位1313~41)。聡明で容姿端麗、敬虔(けいけん)なイスラム教徒であったと伝えられている。王位を奪取したのち、サライ・バトゥからサライ・ベルケへと公式に遷都した。都市生活を重視し、イスラム教を正式に取り入れて、首都にモスク、メドレセ(イスラム高等学院)、宮殿などを建設。産業、貿易の振興を図って、キプチャク・ハン国の最盛期を現出させた。内政は、モンゴルの伝統にのっとって行い、外交面では、ロシア諸侯や東ヨーロッパ諸国を武力で圧迫し、イランのイル・ハン国とカフカスをめぐって対立する一方、元朝やビザンティン帝国、エジプトのマムルーク朝とは友好関係を保った。
[堀川 徹]