うたてし(読み)ウタテシ

デジタル大辞泉 「うたてし」の意味・読み・例文・類語

うたて・し

[形ク]
嘆かわしい。情けない。
「常に思ひ嘆くと聞きはべれば、いと―・くなむ」〈宇津保・蔵開上〉
気に入らない。いやだ。
「こちたく酔ひののしりて、―・くらうがはしき事ども」〈栄花・つぼみ花〉
心が痛む思いである。気の毒だ。
「うたれさせ給ひけん宮の御運のほどこそ―・けれ」〈平家・四〉
感じがよくない。気味が悪い。
「なんと旦那、―・い所ぢゃござりませぬか」〈浄・摂州渡辺橋供養〉
[補説]鎌倉時代ころから「御前に人一人も候はざらんが無下にうたてしう覚え候」〈平家・四〉のようにシク活用の例も見いだせる。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「うたてし」の意味・読み・例文・類語

うたて‐

  1. 〘 形容詞シク活用 〙うたてい
    1. [初出の実例]「げに前(さき)の世の宿習の程思ひ知られ侍りて、うたてしく侍りしが」(出典撰集抄(1250頃)九)

うたてしの派生語

うたてし‐さ
  1. 〘 名詞 〙

うたて‐・し

  1. 〘 形容詞ク活用 〙うたてい

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

今日のキーワード

106万円の壁

会社員に扶養されるパートら短時間労働者は年収106万円以上になると厚生年金保険料などの負担が生じて手取りが減る。将来の年金額は手厚くなるが、働き控えを招く「壁」とされ、企業の人手不足の要因となる。厚...

106万円の壁の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android