日本大百科全書(ニッポニカ) 「ウッカリカサゴ」の意味・わかりやすい解説
ウッカリカサゴ
うっかりかさご / うっかり笠子
ukkari scorpionfish
[学] Sebastiscus tertius
硬骨魚綱カサゴ目フサカサゴ科に属する海水魚。北海道以南の日本各地、東シナ海、朝鮮半島に分布する。本種は、長い間カサゴ(和名カサゴSebastiscus marmoratus)と混同されていたように、両種はきわめてよく似ている。しかし、ウッカリカサゴは体に暗色~褐色の縁取りのある淡色の斑紋(はんもん)があり、側線の上方にも及ぶこと、胸びれ軟条は普通19本以上あることなどの特徴で、カサゴと区別できる。両種は遺伝的にも異なることが明らかにされた。ウッカリカサゴという和名は「研究者が、この魚をウッカリしてカサゴと混同していた」ことから付けられた。体色は橙、赤、紅、暗褐色など変化に富む。通常は水深30~100メートルの岩礁域に生息し、大形魚ほど深みにすむ。一般にカサゴよりも深いところを好む。おもに甲殻類、魚類、イカ類などを食べる。仔魚(しぎょ)を産む卵胎生魚。体長は50センチメートルを超える。
底引網、底延縄(はえなわ)、釣りなどで漁獲される。肉はしまった白身で淡泊。煮付け、鍋(なべ)、刺身などにすると美味。小形魚はから揚げや汁物にする。
[尼岡邦夫]