化学辞典 第2版 「ウッドケミカルス」の解説
ウッドケミカルス
ウッドケミカルス
wood chemicals
木材の物理的,化学的および生化学的処理によって得られる化学製品の総称.木材全体を直接利用するものには,木材のガス化,炭化による木炭の製造およびそれを出発物質とした各種炭化水素類の製造などがある.さらに,木材をそれを構成する各成分に分離したのち,それぞれに特徴的な化学製品に変換することが広く検討されている.セルロースが各種セルロース誘導体を中心としたセルロース製品として利用されることはいうまでもないが,構成単位であるD-グルコースにしたのち,アルコール発酵によるエタノールの生産など,多様な化学製品に変換することも広く検討されている.ヘミセルロースはオリゴ糖として,あるいは還元糖,2-フルアルデヒド(フルフラールともいう)などとしての利用がある.リグニンは高分子のまま樹脂,界面活性剤,土壌改良剤などとして利用するほかに,いったん低分子フェノール類としたのち,樹脂原料として利用することが考えられている.ウッドケミカルスは,石油化学製品を意味するペトロケミカルスに対置する呼称として用いられているが,現時点では石油化学製品の代替品の域をでていない.今後,木材資源に特徴的な製品の開発が期待されている.なお,木材に限らず,広くバイオマス資源由来の化学製品を総称して用いることもある.[別用語参照]木材成分分離
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報