還元糖(読み)カンゲントウ

デジタル大辞泉 「還元糖」の意味・読み・例文・類語

かんげん‐とう〔クワンゲンタウ〕【還元糖】

分子内に遊離性のアルデヒド基ケトン基をもち、還元性を示す糖類ぶどう糖果糖麦芽糖など。→非還元糖

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精選版 日本国語大辞典 「還元糖」の意味・読み・例文・類語

かんげん‐とうクヮンゲンタウ【還元糖】

  1. 〘 名詞 〙 還元する力をもつ糖類。葡萄糖(ぶどうとう)、果糖、麦芽糖など。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「還元糖」の意味・わかりやすい解説

還元糖
かんげんとう

分子中にアルデヒド基(-CHO)、あるいはケトン基(-CO-)をもち、還元性のある糖のこと。ブドウ糖、果糖、麦芽糖などが代表的。還元糖はアミノ酸と化学反応をおこしやすい。とくに、加熱によるアミノカルボニル反応によって褐色物質メラノイジンをつくる。また、食品の褐変(かっぺん)の原因となりやすい。たとえば、梅酒にブドウ糖などの還元糖を含む上白糖蜂蜜(はちみつ)を使用すると、短期間に褐変する。砂糖は非還元糖であるが、酸とともに加熱するとブドウ糖、果糖に分解するため、還元性が生ずる。

河野友美・山口米子]

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化学辞典 第2版 「還元糖」の解説

還元糖
カンゲントウ
reducing sugar

カルボニル基が分子内ヘミアセタール形成能をもつ単糖やオリゴ糖総称図示したように,還元糖は直鎖構造のほかに,還元性の基本であるアルデヒド基(アルドース)やケトンの特性基(ケトース)が分子内のγ-位やδ-位のヒドロキシ基と付加環化した五員環(フラノース)や六員環(ピラノース)構造の形成が可能であり,そのうえ,環化で新しくできたヒドロキシ基が環の下方(α形)に位置するか上方(β形)に位置するかによって,計5種類の構造をとりえる.これらは溶液中で平衡関係にあるので,条件によって変旋光を示す.グリコシド化のような化学反応による構造の固定化によってのみそれぞれの単離が可能である.遊離の単糖はすべて還元糖であり,アルカリ性溶液中で重金属塩(フェーリング液アンモニア性硝酸銀溶液など)を還元する.アルカリ性溶液中では不安定で,エピマー化などの異性化や分解が起こる.ヒドラゾンやオサゾンなどの誘導体をつくる.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

栄養・生化学辞典 「還元糖」の解説

還元糖

 物質を還元する力のある糖.分子内のアルデヒド基やケトン基が還元性を示すが,ショ糖のように反応する原子団がグリコシド結合することによって還元性を示さなくなるものもある.

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