エキドナ(その他表記)Echidna

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「エキドナ」の意味・わかりやすい解説

エキドナ
Echidna

ギリシア神話の女怪。海神ポントスと大地女神ガイア交わりから生れたフォルキュスが姉妹のケトと結婚してもうけた怪物で,上半身は人間の女,腰から下はへびの形をしていた。これも恐ろしい怪物のテュフォンと交わり,猛犬オルトロス,地獄の番犬ケルベロス,レルネの水へびヒュドラキマイラら,いずれも多頭の無気味な子供たちを生み,さらにそのなかのオルトロスとも母子姦してネメアのライオンらを生んだ。最後に百眼の巨人アルゴスによって退治されたという。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「エキドナ」の意味・わかりやすい解説

エキドナ
えきどな
Echidna

ギリシア神話において上半身は女、下半身は蛇の怪物。彼女の両親はフォルキスとケト、クリサオルとカリロエタルタロスとガイアなどといわれ、一定しない。洞穴に住み、旅人をむさぼり食っていたが、のちに多眼の怪物アルゴスにより退治された。怪物のティフォンと交わってゲリオンの怪犬オルトロス、地獄の番犬ケルベロス、レルネの水蛇ヒドラ、怪獣キマイラを生み、また息子のオルトロスと交わって怪物スフィンクスとネメアの獅子(しし)を生んだ。さらに、金毛のヒツジの番をするコルキスの竜、黄金のリンゴを見張るヘスペリデスの園の竜、カウカソス山の岩に縛られたプロメテウスの肝臓をついばむ鷲(わし)も、彼女の子である。

[小川正広]

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世界大百科事典(旧版)内のエキドナの言及

【ケルベロス】より

…ギリシア神話に登場する冥府の門の番犬。ヘシオドスの《神統記》には,この犬は怪物テュフォンとエキドナEchidnaの子で,50の頭と青銅の声をもつと語られているが,古典期の文学や美術では,頭は三つで,蛇の尾をもつ姿に描かれており,キリスト教美術に受け継がれたのも後者の方である。ヘラクレスが冥府に下り,ケルベロスを生捕りにして地上に連れ戻った話は,彼の十二功業の一つとして名高い。…

【テュフォン】より

…エトナ山の噴火は,この重圧を逃れんとするテュフォンのしわざであるという。テュフォンはまた上半身が女,下半身が蛇の怪物エキドナEchidnaと交わり,怪獣キマイラ,レルナのヒュドラ(水蛇),冥府の番犬ケルベロス,スフィンクスなどの父となったとされている。【水谷 智洋】。…

※「エキドナ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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