キマイラ(読み)きまいら(英語表記)Chimaira

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「キマイラ」の意味・わかりやすい解説

キマイラ
Chimaira

ギリシア神話怪獣テュフォンエキドナの間に生れた恐ろしい怪物の一つで,ライオン,やぎ,へびの頭をもち,口から火を吐いた。小アジアのカリア地方に住み,周辺土地を荒していたが,リュディア王イオバテスの命令を受けたベレロフォンが,天馬ペガソスの助けをかりて退治したとされる。美術では,古代ギリシア以来工芸品の文様として用いられている。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「キマイラ」の意味・わかりやすい解説

キマイラ
きまいら
Chimaira

ギリシア神話の怪物。ヒドラ(水蛇)あるいはエキドナ(蛇女)の子とされ、ホメロスによれば頭部獅子(しし)、胴体は牝山羊(めやぎ)(ギリシア語でキマイラ)、後部は竜、またヘシオドスによれば、獅子と牝山羊と竜蛇の三つの頭をもつ合成怪獣とされる。口から火を吐いてはリキアの人畜を苦しめていたが、英雄ベレロフォンに退治された。今日生物学で、遺伝子型の異なる組織が合体した生物体のことを「キメラ」とよぶが、これはこの怪物にちなんだ命名である。

[中務哲郎]

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