岩石学辞典 「エス型花崗岩」の解説 エス型花崗岩 ホワイトとチャペルは野外における花崗岩の産状と化学分析値から,S型花崗岩とI 型花崗岩とに大別した.S型花崗岩はCa, Naの含有量が低く,Al2O3/(Na2O+K2O+CaO)の値が1.1以上で,石榴(ざくろ)石,白雲母,菫青石が普通に含まれる特徴がある.粘土質の堆積岩が起源(sedimentary source type)と考えられる[Chappell & White : 1974, Pitcher : 1983].S型花崗岩はNaに乏しくAlに富む岩石で,ノルム値にコランダム(C)が含まれる.鉱物組成に白雲母が形成され,角閃石が含まれずに黒雲母が含まれる.変成した堆積岩の捕獲岩やシュリーレンが普通に含まれる.原岩は大陸地殻の大部分を占め,花崗岩が堆積岩の部分熔融によって形成されたと考えられる.錫鉱床が伴われる.S型花崗岩はH2O成分に富み,地表に向って上昇すると圧力が減少して固化する.この型のマグマはI 型のように火山岩と一緒に広く産出することはない.S型花崗岩は広域変成地域に産出し,特に変成した堆積岩が局所的に部分熔融したもので,低度で熱い変成過程の地域から由来した高度のミグマタイト質の複合岩体に産出する.石英が多く.変成堆積岩質のAlに富む包有物や珪岩質包有物が含まれる.多くの錫鉱床が錫石として伴われる. 出典 朝倉書店岩石学辞典について 情報