白雲母(読み)シロウンモ(その他表記)muscovite

デジタル大辞泉 「白雲母」の意味・読み・例文・類語

しろ‐うんも【白雲母】

雲母の一。ガラス光沢または真珠光沢があり、無色または白色透明。六角板状結晶で、薄くはがれる。単斜晶系ペグマタイト中のものは大形で、電気絶縁材料利用

はく‐うんも【白雲母】

しろうんも

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精選版 日本国語大辞典 「白雲母」の意味・読み・例文・類語

しろ‐うんも【白雲母】

  1. 〘 名詞 〙 雲母の一種。単斜晶系。無色、または淡色で、ガラス光沢、あるいは真珠光沢を有する。電気絶縁材や耐熱保温材などに用いられる。はくうんも。〔鉱物字彙(1890)〕

はく‐うんも【白雲母】

  1. 〘 名詞 〙しろうんも(白雲母)〔英和和英地学字彙(1914)〕

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「白雲母」の意味・わかりやすい解説

白雲母(しろうんも)
しろうんも
muscovite

雲母の一種で、白雲母(はくうんも)ともいう。産出量、産状ともきわめて豊富な鉱物である。薄くはげやすく、弾性に富む葉片状結晶で、自形は六角ないし菱形(ひしがた)板状をなす。各種岩石中に産するが、おもに、花崗(かこう)岩およびそのペグマタイト、結晶片岩、片麻(へんま)岩中によくみられる。そのほか、熱水鉱床の脈石として、アルミニウムを主成分とする珪(けい)酸塩鉱物の分解物としても産する。微細な結晶が集合したものは絹雲母(きぬうんも)とよばれ、結晶片岩や粘土鉱床中でよくみられる。クロムを含んで緑色を呈するものをクロム白雲母(フクサイト)、ケイ酸分にやや富むものをフェンジャイトなどと称することがある。英名は、ロシアのムスコビー地方から最初に記載されたときに使われた名前、ムスコビーガラスMuscovy glassに由来して命名された。

[松原 聰]



白雲母(データノート)
しろうんもでーたのーと

白雲母
 英名    muscovite
 化学式   KAl2(AlSi3)O10(OH,F)2
 少量成分  Na,Ba,Rb,Mg,Fe,Mn,Cr,V
 結晶系   単斜
 硬度    2.5*~4**
 比重    2.8~2.9
 色     白,淡褐,淡緑
 光沢    ガラス~真珠
 条痕    白
 劈開    一方向に完全
       (「劈開」の項目を参照)
 その他   *底面に平行
       **底面に垂直な方向での硬度


白雲母(はくうんも)
はくうんも

白雲母

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改訂新版 世界大百科事典 「白雲母」の意味・わかりやすい解説

白雲母 (しろうんも)
muscovite

雲母のうちではもっともふつうの鉱物。KAl2(Si3Al)O10(OH)2化学組成をもつが,Kを置きかえてNaの少量入ったもの,Fe,Mgを少量含むものもある。単斜晶系に属する2層の結晶構造単位をもつものがふつうであるが,まれに3層の三方晶系のものも産する。六角板状結晶,また放射状や細粒の集合体として産する。色は名のように白色,無色のものが多いが,淡緑色,淡黄色のものもある。光沢はガラス状,絹糸状または真珠状。モース硬度は2~3,比重は2.8~2.9。造岩鉱物として,火成岩では花コウ岩,ペグマタイトにふつうにみられる。変成作用を受けた泥質の結晶片岩や片麻岩にも多くみられる。KのかわりにNaの入った雲母はパラゴナイトと呼ばれるが,白雲母と区別しにくい。二次的にできた白雲母や堆積岩中の白雲母で,一般に細かい繊維状結晶の集合物はふつう絹雲母と呼ばれる。電気製品の絶縁材料として用いられた。
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百科事典マイペディア 「白雲母」の意味・わかりやすい解説

白雲母【しろうんも】

黒雲母と並んで最も広く分布している雲母。火成岩にも産するが変成岩中に多く,ペグマタイトには大きな厚い結晶として産する。雲母中最も透明度が高い。鉄を含まないため,良好な電気絶縁性をもち,断熱材,絶縁材として広く利用される。単斜晶系。へき開は完全。硬度2.5〜3,比重2.77〜2.88。無色〜淡赤・緑・褐色。化学組成は複雑でKAl2(Si3Al)O1(/0)(OH,F)2のKを各種のアルカリ金属,アルカリ土類金属,AlをMg,Fe,Mn,Crなどが置換している。白雲母に比べKが少なく水を多く含んでいるものを絹雲母といい,白〜黄色で絹糸光沢をもち,鱗片状をなす。Liを含みその鉱石となる淡紅色のリシア(うろこ)雲母,淡褐色をしたチンワルド雲母,淡緑青色の鉄リシア雲母などがペグマタイト中にみられ,Crを含んだ黄緑色のクロム雲母がクロム鉄鉱に伴って産出する。これらは白雲母とともに白雲母族に属する。

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化学辞典 第2版 「白雲母」の解説

白雲母
シロウンモ
muscovite

K[Al2(OH)2(Si3AlO10)](398.31).層状ケイ酸塩である雲母鉱物の一種.命名はMuscovy(モスクワ)に由来する.一般に無色または白色であるが,不純物として Fe2+ や Fe3+ を含み,淡緑色および淡紅色のものもある.水酸化アルミニウムの酸素八面体層を,二つのアルミノケイ酸の酸素四面体層がはさんだ複合層構造になっている.カリウムイオンは二つの複合層の間に入る.結晶は層構造にそってへき開する.電気絶縁性の薄片であるので高周波用の低容量コンデンサーに用いられる.また,耐熱性で透明であるので炉の窓に用いられる.粉末はなめらかで化粧品に用いられる.そのほか,ガラスの代用,保温材,防熱材,装飾材,製紙などに用いられる.

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「白雲母」の意味・わかりやすい解説

白雲母
しろうんも
muscovite

K2Al4Si6Al2O20(OH)4 の理想式を有する雲母族の鉱物。単斜晶系。絹雲母は細粒の白雲母。酸性ないし中性の深成岩や,泥質堆積岩起源の変成岩中に広く産出する。粘土鉱物のイライトは白雲母と近縁のもの。

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世界大百科事典(旧版)内の白雲母の言及

【雲母】より

…層間にCaなど2価の陽イオンの入ったものはゼイ(脆)雲母と呼ばれている。
[おもな種類と理想化した化学組成]
(1)二・八面体雲母 白雲母muscovite KAl2(Si3Al)O10(OH)2 ソーダ雲母paragonite(ナトリウム雲母,パラゴナイトとも呼ぶ)NaAl2(Si3Al)O10(OH)2(2)三・八面体雲母 金雲母phlogopite KMg3(Si3Al)O10(OH)2 黒雲母biotite K(Fe,Mg)3(Si3Al)O10(OH)2 アナイトannite KFe3(Si3Al)O10(OH)2 イーストン石eastonite  KMg2.5Al0.5(Si2.5Al1.5)O10(OH)2 シデロフィライトsiderophyllite  KFe2.5Al0.5(Si,Al)O10(OH,F)2 鱗雲母lepidolite(紅雲母,リシア雲母,レピドライトとも呼ぶ)KLi2AlSi4O10F2からK(Li,Al)2.5(Si,Al)(OH,F)2
[結晶学的および鉱物学的性質]
 雲母は平板状にわれやすく,六角板状に近い外形を示すが,他の結晶面はあまり発達しない。また双晶していることが多い。…

【雲母】より

…層間にCaなど2価の陽イオンの入ったものはゼイ(脆)雲母と呼ばれている。
[おもな種類と理想化した化学組成]
(1)二・八面体雲母 白雲母muscovite KAl2(Si3Al)O10(OH)2 ソーダ雲母paragonite(ナトリウム雲母,パラゴナイトとも呼ぶ)NaAl2(Si3Al)O10(OH)2(2)三・八面体雲母 金雲母phlogopite KMg3(Si3Al)O10(OH)2 黒雲母biotite K(Fe,Mg)3(Si3Al)O10(OH)2 アナイトannite KFe3(Si3Al)O10(OH)2 イーストン石eastonite  KMg2.5Al0.5(Si2.5Al1.5)O10(OH)2 シデロフィライトsiderophyllite  KFe2.5Al0.5(Si,Al)O10(OH,F)2 鱗雲母lepidolite(紅雲母,リシア雲母,レピドライトとも呼ぶ)KLi2AlSi4O10F2からK(Li,Al)2.5(Si,Al)(OH,F)2
[結晶学的および鉱物学的性質]
 雲母は平板状にわれやすく,六角板状に近い外形を示すが,他の結晶面はあまり発達しない。また双晶していることが多い。…

※「白雲母」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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