雲母の一種で、白雲母(はくうんも)ともいう。産出量、産状ともきわめて豊富な鉱物である。薄くはげやすく、弾性に富む葉片状結晶で、自形は六角ないし菱形(ひしがた)板状をなす。各種岩石中に産するが、おもに、花崗(かこう)岩およびそのペグマタイト、結晶片岩、片麻(へんま)岩中によくみられる。そのほか、熱水鉱床の脈石として、アルミニウムを主成分とする珪(けい)酸塩鉱物の分解物としても産する。微細な結晶が集合したものは絹雲母(きぬうんも)とよばれ、結晶片岩や粘土鉱床中でよくみられる。クロムを含んで緑色を呈するものをクロム白雲母(フクサイト)、ケイ酸分にやや富むものをフェンジャイトなどと称することがある。英名は、ロシアのムスコビー地方から最初に記載されたときに使われた名前、ムスコビーガラスMuscovy glassに由来して命名された。
[松原 聰]
muscovite
化学組成K2Al4(Si6Al2)O20(OH,F)4 雲母族の鉱物。単斜晶系,空間群C2/c,格子定数a0.519nm, b0.904, c2.008, β95°30′。天然産のものはパラゴナイトを平均12%くらい含む。白雲母にいちばん多いポリタイプは2M1だが,3T,1M,1Mdもある。1M,1Mdは堆積岩や低度変成岩に産し,セリサイト,イライト,加水白雲母と記載。12配位にBaを含むエラチェライト(oellacherite)はBaが多いと1M。6配位にはVもかなり入るが,V2O315%以上のものは1M(ros-coelite)。フクサイト(fuchsite,クロム白雲母)ではCr2O36%まで入る。白雲母にはAl・Al→(Fe・Mg)Siの置換も起こり,フェンジャイトを得る。このタイプには3Tが多い。ポリタイプの安定関係は定性的にしかわかっていないが,1Md→1M→2Mの順に高温型で,3Tも熱する2Mとなる。屈折率α1.552~1.574, β1.582~1.610, γ1.587~1.616, 2Vx30°~47°,ただし,3Tは2V0°,フェンジャイトは0°~20°,c∧X≒0°,光分散r>v。白雲母は泥質変成岩に多く,苦鉄質変成岩にも産する。角閃岩相の高温部では石英と反応して珪線石(珪線石アイソグラッド)になり,岩圧が低いと紅柱石になる。低度変成岩ではフェンジャイトとの固溶体が広いが,高度変成岩では本来の白雲母になる。名はロシアのマスコビーからmuscovy glassとして記載されたことによる。
執筆者:端山 好和
出典 平凡社「最新 地学事典」最新 地学事典について 情報
雲母のうちではもっともふつうの鉱物。KAl2(Si3Al)O10(OH)2の化学組成をもつが,Kを置きかえてNaの少量入ったもの,Fe,Mgを少量含むものもある。単斜晶系に属する2層の結晶構造単位をもつものがふつうであるが,まれに3層の三方晶系のものも産する。六角板状結晶,また放射状や細粒の集合体として産する。色は名のように白色,無色のものが多いが,淡緑色,淡黄色のものもある。光沢はガラス状,絹糸状または真珠状。モース硬度は2~3,比重は2.8~2.9。造岩鉱物として,火成岩では花コウ岩,ペグマタイトにふつうにみられる。変成作用を受けた泥質の結晶片岩や片麻岩にも多くみられる。KのかわりにNaの入った雲母はパラゴナイトと呼ばれるが,白雲母と区別しにくい。二次的にできた白雲母や堆積岩中の白雲母で,一般に細かい繊維状結晶の集合物はふつう絹雲母と呼ばれる。電気製品の絶縁材料として用いられた。
執筆者:武田 弘
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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K[Al2(OH)2(Si3AlO10)](398.31).層状ケイ酸塩である雲母鉱物の一種.命名はMuscovy(モスクワ)に由来する.一般に無色または白色であるが,不純物として Fe2+ や Fe3+ を含み,淡緑色および淡紅色のものもある.水酸化アルミニウムの酸素八面体層を,二つのアルミノケイ酸の酸素四面体層がはさんだ複合層構造になっている.カリウムイオンは二つの複合層の間に入る.結晶は層構造にそってへき開する.電気絶縁性の薄片であるので高周波用の低容量コンデンサーに用いられる.また,耐熱性で透明であるので炉の窓に用いられる.粉末はなめらかで化粧品に用いられる.そのほか,ガラスの代用,保温材,防熱材,装飾材,製紙などに用いられる.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…層間にCaなど2価の陽イオンの入ったものはゼイ(脆)雲母と呼ばれている。
[おもな種類と理想化した化学組成]
(1)二・八面体雲母 白雲母muscovite KAl2(Si3Al)O10(OH)2 ソーダ雲母paragonite(ナトリウム雲母,パラゴナイトとも呼ぶ)NaAl2(Si3Al)O10(OH)2(2)三・八面体雲母 金雲母phlogopite KMg3(Si3Al)O10(OH)2 黒雲母biotite K(Fe,Mg)3(Si3Al)O10(OH)2 アナイトannite KFe3(Si3Al)O10(OH)2 イーストン石eastonite KMg2.5Al0.5(Si2.5Al1.5)O10(OH)2 シデロフィライトsiderophyllite KFe2.5Al0.5(Si,Al)O10(OH,F)2 鱗雲母lepidolite(紅雲母,リシア雲母,レピドライトとも呼ぶ)KLi2AlSi4O10F2からK(Li,Al)2.5(Si,Al)(OH,F)2
[結晶学的および鉱物学的性質]
雲母は平板状にわれやすく,六角板状に近い外形を示すが,他の結晶面はあまり発達しない。また双晶していることが多い。…
…層間にCaなど2価の陽イオンの入ったものはゼイ(脆)雲母と呼ばれている。
[おもな種類と理想化した化学組成]
(1)二・八面体雲母 白雲母muscovite KAl2(Si3Al)O10(OH)2 ソーダ雲母paragonite(ナトリウム雲母,パラゴナイトとも呼ぶ)NaAl2(Si3Al)O10(OH)2(2)三・八面体雲母 金雲母phlogopite KMg3(Si3Al)O10(OH)2 黒雲母biotite K(Fe,Mg)3(Si3Al)O10(OH)2 アナイトannite KFe3(Si3Al)O10(OH)2 イーストン石eastonite KMg2.5Al0.5(Si2.5Al1.5)O10(OH)2 シデロフィライトsiderophyllite KFe2.5Al0.5(Si,Al)O10(OH,F)2 鱗雲母lepidolite(紅雲母,リシア雲母,レピドライトとも呼ぶ)KLi2AlSi4O10F2からK(Li,Al)2.5(Si,Al)(OH,F)2
[結晶学的および鉱物学的性質]
雲母は平板状にわれやすく,六角板状に近い外形を示すが,他の結晶面はあまり発達しない。また双晶していることが多い。…
※「白雲母」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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