エゾ地一周ひとり旅(読み)エゾちいつしゆうひとりたび

日本歴史地名大系 「エゾ地一周ひとり旅」の解説

エゾ地一周ひとり旅
エゾちいつしゆうひとりたび

一冊 A・ヘンリー・サーヴィジ・ランドー著 戸田祐子訳 未来社 昭和六〇年刊

解説 明治二三年にイギリスの青年ランドーがただ一人で北海道を完全に一周し、さらに十勝川・釧路川石狩川奥地をも探検しつつ、アイヌコタンを遍歴した五ヵ月間にわたる冒険の記録である。本書には駅逓で馬を乗継ぎつつ、いまだ原初の面影を残していた北海道の辺境を訪ねてアイヌの生活・風俗習慣を調査した実見譚が生き生きと語られている。一回の旅で四二〇〇マイルを踏査した行程松浦武四郎に匹敵するが、外国人の彼が道案内や通訳もなしに丹念な記録とスケッチを残しつつ旅を続けえたことは驚きである。これはその時点における北海道全域の断面図ともいえる貴重な記録であるが、折々にみられる著者の皮相なアイヌ蔑視観が本書の価値を傷つけているのは大変残念である。訳文は翻訳を感じさせない自然で丁寧なものになっている。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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