エチオピア諸語(読み)エチオピアしょご(その他表記)Ethiopic

翻訳|Ethiopic

改訂新版 世界大百科事典 「エチオピア諸語」の意味・わかりやすい解説

エチオピア諸語 (エチオピアしょご)
Ethiopic

エチオピアではセム語族クシ諸語,オモ諸語Omotic,ナイル・サハラ語族のおのおのに属する70~80に上る言語が行われている。セム語系の言語はおもに北部中部に分布し,最大の母語人口をもつアムハラ語をはじめ,ティグリニア語Tigrinya,ティグレ語Tigre,グラゲ語Gurage,ハラル語Harari等を含む。ゲエズ語は現在では死語であるが,伝統的なエチオピア文化の形成に重要な役割を果たした。クシ諸語系の言語は20以上に及ぶが,なかでも中部を中心に広く分布するオロモ語Oromoの話者数は,アムハラ語のそれに匹敵する。

 このエチオピアのセム語とクシ諸語は多くの言語的特徴を共有しており,両者合わせて総人口のほぼ90%をカバーする。オモ諸語系は南西部のオモ川流域に,またナイル・サハラ語族系諸言語はスーダンとの国境沿いに多数みられるが,話者数は共に少ない。このような多言語状況において,多くの人々が2言語あるいはそれ以上の言語を併用している。なかで最も共通語的役割を果たしているのはアムハラ語である。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「エチオピア諸語」の意味・わかりやすい解説

エチオピア諸語
エチオピアしょご
Ethiopic languages

エチオピアに行われてきた,セム語族に属する言語の総称南アラビア語とともに南東セム語をなす。基層言語であるクシ語の影響が強い。ゲエズ語,ティグリニャ語,ティグレ語から成る北エチオピア語と,アムハラ語,ハラル語,グラゲ語,ガファト語などから成る南エチオピア語とに分けられる。最古資料は3~4世紀のゲエズ語の碑文

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