日本大百科全書(ニッポニカ) 「エーロゾル剤」の意味・わかりやすい解説
エーロゾル剤
えーろぞるざい
固体または液体の薬剤を、低沸点の噴射剤とともに容器に詰め、バルブから薬剤を霧状に散布するようにしたもの。一般にはエアゾール剤もしくはエアロゾル剤とよばれることも多い。手軽に均一な散布状態が得られるため、殺虫・駆虫剤、家庭用塗料、ヘアスプレー、皮膚用薬剤などに利用されている。噴射剤として液化石油ガス(LPG)、ジメチルエーテル、窒素ガスなどがある。かつてはフロンガスがよく用いられたが、これが成層圏に蓄積してオゾン層を破壊し、太陽紫外線量を増加させるという問題で使用されなくなった。なお、学術的にエーロゾル(エアロゾル)aerosolという用語は、分散媒が気体で、分散相が固体または液体である系をさし、煙霧質ともいう。
[松田治和]
『高山幸三・寺田勝英・渡辺照編『製剤学』改訂版(2002・ミクス)』