おいらか(読み)オイラカ

デジタル大辞泉 「おいらか」の意味・読み・例文・類語

おい‐らか

[形動ナリ]
性格が、こせこせせずおっとりしているさま。穏やか。
「対の君は、―なれど心深ければこそ」〈宇津保・楼上上〉
態度が素直でとげとげしくないさま。あっさりしているさま。
「すべて人は―に、すこし心おきてのどやかに、おちゐぬるをもととしてこそ」〈紫式部日記

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精選版 日本国語大辞典 「おいらか」の意味・読み・例文・類語

おい‐らか

〘形動〙 人の態度、心、性格について、おだやかなさま、あっさりしてものにこだわらないさまをいう。
① 率直なさま。あっさりしているさま。連用形「おいらかに」は、「(どうせなら)いっそあっさりと」の意味に使われることがある。
※竹取(9C末‐10C初)「御こ達、上達部聞きて、『おいらかに、あたりよりだにな歩きそとやはのたまはぬ』と言ひて、うんじて皆帰りぬ」
② (心、気持が)のどかで、安らかなさま。平穏なさま。のんびりしているさま。
蜻蛉(974頃)上「人の心のことなる時は、よろづをひらかにぞありける」
③ (態度が)おだやかなさま。おとなしいさま。すなおなさま。
落窪(10C後)二「おいらかにいなといはましかば、さても止みなまし」
④ (性格、人がらが)おっとりしているさま。こせこせしていないさま。
源氏(1001‐14頃)帚木物怨(ものゑん)じをいたくし侍りしかば心づきなく、『いと、かからで、おいらかならましかば』と思ひつつ」
⑤ (動作、ふるまいが)おおようなさま。落ち着いてゆったりとしているさま。
※宇津保(970‐999頃)内侍督「右大将のおとど、おいらかに立ち走り遊ばすに」
[語誌]→「おおどか」の語誌

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