改訂新版 世界大百科事典 「オイラー周期」の意味・わかりやすい解説
オイラー周期 (オイラーしゅうき)
Euler's period
剛体と仮定した地球の極運動の周期。その値は約305日である。回転対称な形状をもつ剛体が外力のない場で自由に回転する場合,形状軸(最大慣性モーメント軸)と回転軸が一致していないと回転運動に揺らぎが起こる。回転する剛体の上でこの揺らぎを観測すると,形状軸のまわりを回転軸が運動するように見える。1736年にL.オイラーは地球を剛体と仮定し,地球の主慣性モーメントの数値を使って運動の周期305日を求めた。地球は剛体ではないので実際に観測される周期は約430日である。この周期は発見者の名をとってチャンドラー周期という。周期の違いは地球を弾性体とすれば解決することをS.ニューカムが証明した。
執筆者:若生 康二郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報