日本大百科全書(ニッポニカ) 「オウム目」の意味・わかりやすい解説
オウム目
おうむもく
鳥綱の1目。この目Psittaciformesはオウム類とインコ類約335種よりなり、ヒインコ科Loriidae、オウム科Cacatuidae、インコ科Psittacidaeの3科に分類されるが、この3科を1科にまとめ、そのなかに6~8亜科を認める分類も広く行われている。とにかく、オウム目3科の間には著しい形態的な違いはなく、すべてのオウム・インコ類は、ぶ厚く先が鋭く鉤(かぎ)状に曲がった嘴(くちばし)をもち、植物質を主食としている。しかし、ヒインコ科は花蜜(かみつ)・花粉食に適応し、嘴が比較的小さく、舌の先端が刷毛(はけ)状に分かれている。オウム科とインコ科は嘴がじょうぶで、ぶ厚い肉質の舌をもち、種子食に適応している。とくにオウム科と大形のコンゴウインコなどは嘴が強大で、堅い木の実を割る力がある。足は通常の対趾足(たいしそく)(第2趾と3趾が前向き、第1趾と4趾が後ろ向き)で、樹上生活に適応しているが、フクロオウムやキジインコは地上で生活する。オウム目は、鳥類のなかで形態的にも生態的にも独特の存在で、他の目との類縁は明らかでない。
[森岡弘之]