(中村敬 大正大学人間学部人間福祉学科教授 / 2008年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報
生後3,4ヵ月くらいの乳幼児に主として持たせる育児玩具。この年ごろには,口に入れてしゃぶるくせがあり,感覚器官を育てるため,しゃぶって遊ぶように作られているのでこの名がある。がらがらを兼ねているものが多く,手で握って振れるように作ってあるのは〈おにぎり〉という。江戸時代から木製挽物(ひきもの)細工のものがあった。明治以後も木製の亜鈴形のものが作られ,なかには柄の端が笛になっているのもあり,現在でも東北地方などで木地玩具として作られている。大正時代からはセルロイド製ができ,ゴム製の乳首をつけたものもあらわれた。現在はプラスチック製が主である。口中に入れるので無害,危険のないものが必要とされる。
執筆者:斎藤 良輔
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
生後3、4か月ぐらいからの乳児に持たせてしゃぶらせる玩具(がんぐ)。「がらがら」を兼ねているものが多い。江戸時代から木製のものがあり、明治以後には亜鈴(あれい)形のものがつくられた。大正時代からセルロイド製、またはゴム製の乳首をつけたものが現れた。欧米では多く用いられているが、わが国では育児衛生上から、また癖になるといわれ、その使用に関して反対されることが多い。しかし、おしゃぶりの癖は、指しゃぶりなどと比較すれば、むしろずっと早くに消失するものである。
[山崖俊子]
…柄のついた円形の胴に球を入れ,振るとガラガラと鳴るのでこの名で呼ばれる。おしゃぶりを兼ねているものもあり,手で握って振って遊べるようにつくってあるのは〈おにぎり〉という。日本では室町時代,京の御所の女官たちが紙製のものをつくったのが始まりといわれる。…
…【和久 洋三】
【子どもの発達と玩具の役割】
子どもの発達には遊びという活動が不可欠であり,その遊びを促し,子どもを発達させる契機として重要なのが,さまざまな玩具の役割である。 乳児期に最初に触れる玩具は,おしゃぶり,がらがらである。前者は口に入れてしゃぶるためのもの,後者は手に握って振り鳴らすためのものであるが,乳児は手に持った物はなんでも口にもっていくことが多く,あるいは振りまわすことも試みるから,必ずしも玩具の機能と実際の遊び方とは一致しない。…
…乳児の吸乳行為は,本来は栄養衝動に根ざしているが,この本能としての食欲に依存しながらも,これに伴う口唇・口腔器官の快感が二次的にも独立してくる。すなわち乳児は空腹でないときでもおしゃぶりで栄養をとるさいの動作を反復して,深い満足を味わう。おしゃぶりはやがて指しゃぶりに発展し,また自慰と結合することすらある(口唇期)。…
※「おしゃぶり」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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