改訂新版 世界大百科事典 「オタビピテクス」の意味・わかりやすい解説
オタビピテクス
Otavipithecus
アフリカ南部,ナミビアのベルフ・アウカスで発見された1300万年前の化石類人猿。1992年D.ジボらによってオタビピテクス・ナミビエンシスO.namibiensisとして記載された。アフリカの化石類人猿はほとんどが東アフリカのケニア,ウガンダ,エチオピアに偏在しており,これが命名された唯一の南部アフリカ産化石類人猿である。また,この時代以降,ケニアのンゴロラ累層の断片的な数個の遊離歯を除けば,アフリカでは1050万年前まで化石類人猿が知られていない。これら二つの理由から重要な位置にある類人猿だが,化石種,現生種に対する系統的位置づけは不明である。臼歯の咬頭が低くふくれあがっている点はやや時代が古い(1500万年前頃)東アフリカの化石類人猿と同じだが,大臼歯の歯帯がない,エナメル質が比較的薄いなどの違いがある。
執筆者:中務 真人
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報