エナメル質(読み)えなめるしつ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「エナメル質」の意味・わかりやすい解説

エナメル質
えなめるしつ

歯冠歯ぐきから出ている部分)の表面を覆い、象牙質(ぞうげしつ)を保護している組織で、ほうろう質ともよばれる。生体中でもっとも硬い組織で、鉱物硬度基準となるモースの硬度では6~7度になる。その組成は、水分2%、無機質96%、有機質2%であり、大部分が無機質、とくにハイドロキシアパタイトからなっている。エナメル質は上皮性の組織であるが、神経組織がないため、ここだけむし歯にかかっても痛みを感じることはない。エナメル質が形成されるのは、口腔(こうこう)内に歯が萌出(ほうしゅつ)する以前である。

[村井正昭]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「エナメル質」の意味・わかりやすい解説

エナメル質
エナメルしつ
enamel

歯の表面をおおう,無機成分に富む (97%) 組織。歯牙エナメル芽細胞から生成される。人間の組織のなかで最も硬い組織で,内部の象牙質や歯髄を保護している。無色であるが,人によって歯の色が異なるのは,エナメル質の厚さに応じて,その下の象牙質の色合いが異なって写るからである。う蝕 (虫歯) は,エナメル質が侵されることから始る。歯の形成期に,この部位外傷感染,全身的な栄養障害,フッ化物過剰摂取などがあると,萌出後の歯にエメナル質欠損がみられる。これをエナメル質形成不全という。

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