日本大百科全書(ニッポニカ) 「おとめ座A」の意味・わかりやすい解説
おとめ座A
おとめざえー
おとめ座にある巨大な楕円銀河(だえんぎんが)。カタログ番号はM87、NGC4486。おとめ座のε(イプシロン)星あたりにあり、肉眼では見にくいが口径10センチメートル程度の望遠鏡で丸い構造がわかる。大きさは直径12万光年で天の川銀河(銀河系)とほぼ同じだが、球形をしているため体積が大きく、質量は天の川銀河の約3倍と見積もられる。また1000個以上の球状星団に囲まれている。中心からジェットが約5000光年以上伸び、活動的な銀河と思われる。非常に強い電波を発しており、最初は、おとめ座領域からくる電波源を「おとめ座A」と名づけたが、のちにこの銀河がその電波源であることが判明した。周囲には多数の銀河が存在し、それらと形成する、おとめ座銀河団の中心銀河である。地球からの距離は約5390万光年。実視等級は9.6等、視直径は7分×7分程度。5月中旬の午後9時ごろに真上の空に見える。イベント・ホライズン・テレスコープ(EHT)の観測により、銀河の中心にある活動銀河核の超大質量ブラック・ホール(太陽質量の65億倍)のシャドウが撮像され、2019年(平成31)4月に公開された。
[編集部 2022年12月12日]