オナガグモ(読み)おながぐも(その他表記)long tailed spider

日本大百科全書(ニッポニカ) 「オナガグモ」の意味・わかりやすい解説

オナガグモ
おながぐも / 尾長蜘蛛
long tailed spider
[学] Ariamnes cylindrogaster

節足動物門クモ形綱真正クモ目ヒメグモ科に属するクモ。体長2.5センチメートルほどの細長いクモで、脚(あし)を前後にまっすぐ伸ばすと4センチメートルぐらいになる。体色が緑色褐色の2型がある。網は糸を2~3本引いた単純な条網(すじあみ)で、その上に脚を伸ばしていると松葉がかかっているようにみえ、動くまでクモであることに気がつかないほどである。日本から台湾にかけて広く分布し、平地から山野にすむ。ときにこのクモの引いた糸を伝わってほかのクモがくることがあるが、このときオナガグモは後脚の間に糸を引いて待ち構え、捕り縄のようにしてそのクモをとらえる。ほかのクモをとらえて食べるクモとして有名である。イソウロウグモの仲間であるが、ほかのクモの巣に居候生活はしない。

[八木沼健夫]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「オナガグモ」の意味・わかりやすい解説

オナガグモ
Argyrodes cylindrogaster

クモ綱クモ目ヒメグモ科。頭胸部腹部歩脚とも細長く,体長 3cmのうち腹部が 2.5cm以上を占める。体色は緑色型と褐色型がある。糸を数本引いただけの簡単な条網を張り,そこに歩脚を前後に伸ばして静止しているさまは,松葉が網にかかっているようである。その糸を伝ってくる別の種類のクモを専門に捕食する。イソウロウグモ属 Argyrodesに含まれるが,特異な形態から独立の属 Ariamnesとして扱われることもある。6月頃雨滴のような卵を吊下げる。本州中部から台湾まで分布する。 (→クモ類 )

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