日本大百科全書(ニッポニカ) 「オニキンメ」の意味・わかりやすい解説
オニキンメ
おにきんめ / 鬼金目
fangfish
fangtooth
[学] Anoplogaster cornuta
硬骨魚綱キンメダイ目オニキンメ科に属する海水魚。北海道から東北地方の太平洋岸、太平洋、インド洋、大西洋の温帯域に広く分布する。体はタイ形で、側扁(そくへん)する。体高は後頭部付近でもっとも高く、尾柄(びへい)で低い。口は大きくて斜めに開き、上顎(じょうがく)の後端は目の後縁下方をはるかに越えて頭部の後縁近くまで伸びる。上顎に3本、下顎に4本の牙(きば)状犬歯があり、両顎の前方の1本は強大。側線は1本の溝になっており、その上下の鱗(うろこ)が伸びて溝の上で癒合し、一定の間隔で橋状になっている。体側の鱗は杯(さかずき)状で、7~8本の棘(とげ)をもつ。各鱗は重なり合わないので、体の表面はビロード状になる。すべてのひれに棘がない。体色は一様に黒色または濃黒色。水深1500メートル以浅の深海の底層または中層にすみ、トロール網でまれにとれる。体長は16センチメートルほどになる。和名は長い牙状の歯、あるいは幼魚の頭部にある数本の長い棘が鬼を連想させることに由来する。
[尼岡邦夫 2016年8月19日]