オニフスベ
おにふすべ
[学] Lanopila nipponica (Kawam.) Y. Kobayasi
担子菌類、腹菌類ホコリタケ科のキノコ。径が20~40センチメートルにもなる巨大な球形のキノコ。初めは白いなめし革に似た手触りのする外皮で覆われるが、のち汚褐色になり、強い臭気をもつ水分を多量に出して乾いてくる。初めは重さ10キログラム以上ある場合でも、乾けば20分の1以下の重量になる。乾くにつれて外皮は破れ、さらにはがれて、汚褐色の薄皮に包まれた内部を露出する。内部の肉は、初め白いはんぺん質だが、成熟して水を失うと汚褐色のほこりだらけの古綿状になる。ほこり状の粉は胞子で、これは径6~8マイクロメートルの球形であり、表面には多くの刺(とげ)状の突起をもつ。7月から10月にかけて、よく竹林に生えるので、ヤブダマともよばれる。若いときは食用になる。学名は長い間Lasiosphaera属に置かれた。なお、欧米に産するgiant puff ball/Calvatia maxima(Schaeff.)Morganは別属別種である。
[今関六也]
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オニフスベ(鬼瘤)
オニフスベ
Lanopila nipponica
担子菌類腹菌目ホコリタケ科のキノコ。径 15~20cmの球形の子実体を形成する。その表面は革質,初め白いがのちに黄褐色になり,乾くに従ってはげる。内部は初め白いがのちに黄褐色となり,最後には紫褐色の古綿状になる。この実質に多数の担子胞子を生じ,破れるとともに散逸する。夏秋に,タケ藪,ごみ捨て場などに突然発生するので驚くが,珍しいものではない。ヤブダマ (藪玉) ともいう。まだ胞子を生じるにいたらない若いものは食べられる。
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オニフスベ
ホコリタケ科の大型キノコ。日本特産。春〜夏,竹やぶなどに発生,径20〜40cmのまんじゅう形の白色肉質塊に育ち,後,次第に組織がこわれ褐色液を出し,かわいた古綿状のかたまりとなる。これは無数の胞子と,子糸という菌糸状のものからなり,表皮も後にはげ落ちる。若い子実体は食用。
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世界大百科事典(旧版)内のオニフスベの言及
【ホコリタケ】より
…ホコリタケに似るが柄はほとんどなく,全体ほぼ球形のタヌキノチャブクロL.pyriforme Pers.は林内の朽木上に多数群生する。 ホコリタケ科には巨大なオニフスベLanopila nipponica (Kawam.) Y.Kobay.がある。直径20~40cmの球塊で,初めは純白色で多量の水分を含んで重い。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」