精選版 日本国語大辞典 「おぼめく」の意味・読み・例文・類語
おぼ‐め・く
① 頼りなく自信なげにふるまう。
② 事の真偽の見分けがつかなくなる。そうかもしれない、あるいはそうでないかもしれないと疑わしくなる。
※亭子院御集(10C中)「わくらばにまれなる人のたまくらは夢かとのみぞおぼめかれける」
※後撰(951‐953頃)夏・一八九「ほととぎすはつかなる音を聞きそめてあらぬもそれとおぼめかれつつ〈伊勢〉」
③ 納得できなくて不思議そうにする。不審がる。いぶかしがる。
※源氏(1001‐14頃)明石「良清驚きて『入道は〈略〉ことなる消息をだに通はさで久しうなり侍りぬるを、波のまぎれにいかなることかあらむ』とおぼめく」
④ 知っていながらよくわからないようなふりをする。そらとぼける。
※源氏(1001‐14頃)花散里「わかやかなるけしきどもして、おぼめくなるべし、『ほととぎす言問ふ声はそれなれどあなおぼつかなさみだれの空』」
⑤ おぼつかない言い方をする。どもる。〔観智院本名義抄(1241)〕
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報