花散里(読み)ハナチルサト

デジタル大辞泉 「花散里」の意味・読み・例文・類語

はなちるさと【花散里】

源氏物語第11巻の巻名。また、その主人公の名。光源氏25歳。夏のある日、麗景殿女御とその妹花散里を訪れる源氏を描く。

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精選版 日本国語大辞典 「花散里」の意味・読み・例文・類語

はなちる‐さと【花散里】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. 花の散る里。花の散る宿。
      1. [初出の実例]「橘の花散里(はなちるさと)のほととぎす片恋しつつ鳴く日しそ多き」(出典:万葉集(8C後)八・一四七三)
    2. 香木の名。分類は伽羅。香味は苦酸。六十一種名香の一つ。
      1. [初出の実例]「花散里(ハナチルサト)、聞不申候」(出典:建部隆勝香之筆記(香道秘伝所収)(1573))
    3. ( 「鼻落ちる里」に掛けて ) 岡場所の異称。
      1. [初出の実例]「はは木ぎをだまし花ちる里へ行」(出典:雑俳・柳多留‐四四(1808))
    4. 五歳の異称。
      1. [初出の実例]「ここらに人の五の歳をば花散里(はなちルさと)と公家がたの人のいわるるぞ」(出典:玉塵抄(1563)二〇)
  2. [ 2 ]
    1. [ 一 ] 「源氏物語」第一一帖の巻名。源氏二五歳の五月二〇日、麗景殿の女御と、その妹花散里を訪問する次第を述べる。
    2. [ 二 ] 「源氏物語」の登場人物。麗景殿女御の妹。源氏の庇護のもとに暮らし、のち、六条院の夏の町に夕霧とともに引き移る。染色縫物にすぐれ、控えめでまじめな性格。

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