オンコセルカ(その他表記)Onchocerca volvulus

改訂新版 世界大百科事典 「オンコセルカ」の意味・わかりやすい解説

オンコセルカ
Onchocerca volvulus

回旋シジョウチュウ(糸状虫)ともいう。アフリカ中南米などの熱帯地方に分布するシジョウチュウの1種で,オンコセルカ症の原因となる。袋形動物門線虫綱ディペタロネマティダエ科に属し,成虫体長は雌33.5~50cm,雄はその約1/10の19~42mm,体幅はそれぞれ0.3~0.4mm,あるいは0.1~0.2mmで細長いセンチュウ(線虫)であるが,ヒトの皮下組織内にコイル状になって寄生し,皮下腫瘤(こぶ)を形成する。本虫による腫瘤は,アフリカでは腰部,大腿関節部などに多いが,中南米では頭部に多くみられる。腫瘤内の雌虫からミクロフィラリア幼虫が産出され,これが眼球に侵入し,結膜炎や角膜炎をおこし,さらに網膜や視神経も侵されると失明の原因となることがある。中間宿主はブユblack flyで,吸血によって摂取されたミクロフィラリアはブユの胸筋内で発育してヒトに感染可能な段階の幼虫となる。オンコセルカ症を媒介するブユのおもな種類は,アフリカではSimulium damnosumおよびS.naeviグアテマラやメキシコ南部ではS.ochraceumS.metallicumS.callidumなど,ベネズエラではS.metallicumである。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のオンコセルカの言及

【フィラリア】より

…成虫は糸状細長で,各種脊椎動物のリンパ管(および節),血管,皮下組織,眼窩(がんか)などに寄生し,胎生で被鞘幼虫(ミクロフィラリアmicrofilaria)を産出し,吸血昆虫によって伝播される。 人体寄生種のおもなものには,バンクロフトシジョウチュウ,マレーシジョウチュウBrugia malayiオンコセルカ,ロアシジョウチュウLoa loaなどがある。このうち前2者はリンパ系に寄生し,象皮病の原因となる。…

※「オンコセルカ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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