オール・オーバー(英語表記)all-over

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「オール・オーバー」の意味・わかりやすい解説

オール・オーバー
all-over

全面を覆う」という意味。この言葉は,カンバスの表面全体が,多少の構成の差はあっても単一な手法で比較的均一に描かれた絵画に対して使われる。 J.ポロックの「ドリッピング」 (絵具をしたたらせる) 技法に対して最初に用いられ,一般にポロックの絵画が念頭に置かれるが,C.トゥオンブリやカラー・フィールド・ペインティング画家に用いられることもある。この手法によると絵画は画面の焦点や中心といったものを消失し,差異のない一つの視覚的全体となる。現実との相関性も失われ,物質としての絵画の性格を際立たせる結果,ミニマル・アートやプライマリー・ストラクチュアーズへの道をも用意したといえる。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

お手玉

世界各地で古くから行われている遊戯の一つ。日本では,小豆,米,じゅず玉などを小袋に詰め,5~7個の袋を組として,これらを連続して空中に投げ上げ,落さないように両手または片手で取りさばき,投げ玉の数や継...

お手玉の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android