お饗盛り(読み)おきょうもり

改訂新版 世界大百科事典 「お饗盛り」の意味・わかりやすい解説

お饗盛り (おきょうもり)

饗はもてなす酒食のことで,供物神饌である。お饗盛りはその神饌を調理・調製し,盛り付けることである。それは聖なる行為であるため,熟饌の煮炊きの火も,新鮮な清らかな火が用いられる。その火は原初的な発火具である火鑽(ひきり)杵・火鑽臼によって特別におこされるのが普通である。調製する場所も特別に設けられた清浄な空間で,大社では神饌殿あるいは竈殿(へつついでん)と呼ばれる特別の建物で,町や村の氏神では宮座の頭屋や神主宮守などの家を浄域とし,厳格なところでは調製の役以外の者はいっさい寄せつけない。調製にあたる者はみな精進潔斎し,浄衣を身にまとい,人間の息が神饌にかからぬように口覆いをし,またサカキ葉などを口にくわえて無言でおこなう。調製された神饌は,素焼土器,曲物(まげもの),折敷(おしき),三方,高杯などに盛り付けられる。これらはいずれも日本の食器・容器では古式のものである。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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