日本大百科全書(ニッポニカ) 「カイオワ」の意味・わかりやすい解説
カイオワ(アメリカの先住民集団)
かいおわ
Kiowa
アメリカ合衆国オクラホマ州の先住民集団(アメリカ・インディアン)。言語はアステカ・タノ語族のカイオワ語。人口約4000。もともとはロッキー山脈の山岳狩猟民であったが、他集団に圧迫されて大平原に押し出され、馬を採用するとともに、生活のほとんどをバッファロー狩りに依存する典型的な北米平原先住民(平原インディアン)となった。戦争や馬を略奪するときを除いては小さなバンド(数家族からなる政治・経済上の共同集団)に分かれて暮らしたが、集団全体は年齢や性別、個人の功績に従ってさまざまな結社に分かれていた。しかし、西に向かう白人との激しい戦いの結果、この生活も激変を遂げ、結局はオクラホマ州の居留地に押し込まれることとなった。以前は他の平原インディアンと同様、華やかな太陽踊りを行って豊穣(ほうじょう)や幸福を祈願したが、白人との戦いに敗れたのちは、ペヨーテという幻覚をおこさせるサボテンを食べる内省的な儀礼、ペヨーテ・カルトを行うようになった。現在では先住民の権利を主張する潮流に加わり、民族の誇りを取り戻そうとする動きがある。19世紀から20世紀まで続いた絵文字による年代記が名高い。
[木村秀雄]