フランスの哲学者、批評家。エコール・ノルマル・シュペリュール(高等師範学校)卒業後、バタイユ、クロソフスキーPierre Klossowski(1905―2001)らと「社会学研究会」を組織し、実践的で先鋭的な批評活動を展開する。主要著書に『人間と聖なるもの』(1939)、『バベル』(1948)、『遊びと人間』(1958)、『石』(1966)、『反対称』(1973)、『蛸(たこ)』(1973)、『詩へのアプローチ』(1978)などがある。彼の著作の魅力はなによりもその世界の広大さであり、問題を追って、文学、社会学、民俗学という近接の領域だけでなく、昆虫学、物理学、鉱物学というようなもっとも離れた分野にまで立ち入ることを恐れない。たとえば石の美の分析は、素粒子から人間の想像に至るさまざまな対称性の考察に向かい、反対称、すなわち対称破壊のなかに負のエントロピーを探る試みに発展する。自らの実践成果を背景に、新しい学問研究の方法、超学際的な「対角線の科学」を提唱した。アカデミー会員。
[塚﨑幹夫]
『岡谷公二訳『石が書く』(1975・新潮社)』▽『塚﨑幹夫訳『蛸――想像の世界を支配する論理をさぐる』(1975・中央公論社)』▽『塚﨑幹夫訳『反対称――右と左の弁証法』(1976/新装版・1991・思索社)』▽『多田道太郎・塚﨑幹夫訳『遊びと人間』(講談社文庫)』
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出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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