日本大百科全書(ニッポニカ) 「ペヨーテ」の意味・わかりやすい解説
ペヨーテ
ぺよーて
peyote
北アメリカ大陸のリオ・グランデ渓谷以南に成長する、アルカロイドを含有する植物で、これを食べると幻覚症状をおこす。ペヨーテという語は、メキシコの先住民の言語の一つナワトルNahuatl語で、ウバタマサボテンLophophora williamsii Lemaireを意味するペヨトルpeyotlに由来する。白人に征服される以前からアステカ、ウィチョルその他のメキシコ・インディオとよばれたメキシコ先住民は、これを宗教的目的のために食べていたが、この習慣は約1870年以後北アメリカ先住民(インディアン)とくに平原先住民にも伝播(でんぱ)した。北米南西部先住民においてペヨーテ崇拝はシャーマニズムや妖術(ようじゅつ)信仰と密接に関連するようになった。ウィチョル社会では、毎年、シャーマンをリーダーとする集団が、昔先祖が住んでいたという聖地まで数百マイルを歩いてペヨーテをとりに行く。
[吉田禎吾]