日本大百科全書(ニッポニカ) 「北米平原先住民」の意味・わかりやすい解説
北米平原先住民
ほくべいへいげんせんじゅうみん
Native Americans of North Plains
北アメリカの大平原地帯(ロッキー山脈とミシシッピ川の間の地域)に住んでいた北アメリカ先住民の総称。平原インディアンPlains Indiansともよばれる。この地域は内陸性気候で寒暖の差が大きく土地は豊かでないため、かつては人はあまり住んでいなかったが、16世紀以降ヨーロッパから馬が伝来すると、さまざまな先住民諸部族が狩猟動物を追って入ってきた。彼らはバンド(小集団)ごとに移動しながらバイソンやシカ類などの狩猟を行っていたが、ポーニーやヒダツァのように、狩猟のほかトウモロコシを主作物とする農耕も行う部族もあり、彼らは農業期間は定住していた。バンドの規模、構成、および部族としての統一性の程度は部族によって異なる。一般に各バンドの独立性は高く、部族全体が集まるのは春や夏の共同狩猟と儀礼のときぐらいであった。親族組織については、クロウ、ヒダツァのように母系氏族をもつ部族、アイオワ、オマハのように父系氏族をもつ部族がある。一部には双系出自もみられる。彼らのほとんどに共通してみられる宗教儀礼に太陽踊りがある。夏に部族全員が平原の野営地に集まり、力、幸福、豊穣(ほうじょう)などを祈願して数日間踊り、皮膚を傷つけるなどの苦行を行った。
[板橋作美]