かういふ女(読み)コウイウオンナ

関連語 新潮文庫

日本大百科全書(ニッポニカ) 「かういふ女」の意味・わかりやすい解説

かういふ女
こういうおんな

平林たい子の短編小説。1946年(昭和21)『展望』10月号に発表。47年筑摩(ちくま)書房刊の同名の作品集に収録思想犯の夫を逃すために検挙された「私」は、ひどい取調べのために重病にかかって、入院費を払えるあてもない病院のベッドに横たわり追想にふける。夫を捕まえ損ない引責辞職した人の好(い)い警官に思いを馳(は)せ、あるいは残してきた夫を気遣いつつも、病気を通して死と直面する「私」は、どん底の状況下にあって、強烈に生への欲求に駆り立てられていく。第1回女流文学賞受賞。

[金井景子]

『『こういう女』(新潮文庫)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

苦肉の策

敵を欺くために、自分の身や味方を苦しめてまで行うはかりごと。また、苦しまぎれに考え出した手立て。苦肉の謀はかりごと。「苦肉の策を講じる」...

苦肉の策の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android