展望
てんぼう
総合雑誌。第一次は1946年(昭和21)1月~51年9月、第2次は64年10月~78年8月。筑摩(ちくま)書房発行。編集長臼井吉見(うすいよしみ)。唐木(からき)順三、中村光夫(みつお)が参画、臼井は「展望」欄で骨太の筆陣を張って注目を浴びた。時流の浮薄に距離を置いた編集方針を貫き、世界史的視圏から現実を凝視、内省する重厚な論を集めた。和辻(わつじ)哲郎、柳田国男(やなぎたくにお)、梯明秀(かけはしあきひで)、梅本克己(かつみ)、中野好夫(よしお)、竹内好(よしみ)らが筆を振るい、宮本百合子(ゆりこ)、中野重治(しげはる)、高村光太郎、太宰治(だざいおさむ)、大岡昇平(しょうへい)らが力編を寄せ、椎名麟三(しいなりんぞう)は文壇的出発を果たした。復刊後は岡山猛らの編集。太宰治賞を創設、吉村昭(あきら)、秦恒平(はたこうへい)らを送り出した。
[高橋新太郎]
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
てん‐ぼう ‥バウ【展望】
[1] 〘名〙
① 広い範囲にわたって
遠くまで見渡すこと。また、その見渡したながめ。見晴らし。
※門(1910)〈
夏目漱石〉二一「前には堅固な扉が何時迄も展望
(テンバウ)を遮ぎってゐた」
② 広い範囲にわたって社会のできごとや人生などを見渡すこと、見通すこと。また、その見通し。転じて、事の成り行きやその予想をもいう。
[2] 総合雑誌。昭和二一年(
一九四六)一月、臼井吉見編集で
創刊。
筑摩書房発行。田辺元、矢内原忠雄らの
論文や、一号一作主義の創作欄で太宰治「人間失格」、宮本百合子「
道標」、大岡昇平「
野火」などを掲載した。同二六年九月
休刊、同三九年九月復刊したが、同五三年休刊した。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
てんぼう【展望】[書名]
総合雑誌。筑摩書房より昭和21年(1946)1月創刊。創刊時の編集長は臼井吉見。昭和26年(1951)に一度休刊したのち、昭和39年(1964)から第2期を刊行、昭和53年(1978)廃刊。
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てんぼう【展望】
筑摩書房発行の月刊総合雑誌。1946年1月創刊。〈敗戦の悲惨は,何といったところで,日本文化の低さと弱さに根ざしてゐる……〉(創刊号編集後記)とする観点から,文化・思想を重視し,田辺元,務台理作らの哲学論文を相次いで掲載。創作欄にも中野重治,宮本百合子,太宰治,大岡昇平らの力作や新人椎名麟三を登場させるなど好調なすべり出しをみせた。とくに編集者臼井吉見執筆の〈展望〉欄はその鋭鋒が評判となったが,母体の経営不振から51年9月号で休刊。
出典 株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について 情報
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報