カスパールハウザー(その他表記)Kaspar Hauser

改訂新版 世界大百科事典 「カスパールハウザー」の意味・わかりやすい解説

カスパール・ハウザー
Kaspar Hauser
生没年:1812ころ-33

1828年,身元不明の男としてニュルンベルクで保護された少年。当時16歳くらいだったが,ろくに話もできず,きわめて低い知能しかなかった。長く地下牢に幽閉されていたらしく,いつも座位を強制され,水とパンだけ与えられて,世間没交渉で育った。法学者P.J.A.vonフォイエルバハに引き取られ,やがて書記にまでなるが,何者かに2度にわたって襲われて絶命した。出自については,ナポレオン1世の子とか,バーデン大公カール・フリードリヒの子とかの説があり,相続をめぐって幽閉,抹殺されたと称される。J.ワッサーマンなどにより文学作品化されたほか,人間の身体的・知的・道徳的発達の過程をめぐって,心理学者や精神医学者の注目の的となっている。
野生児
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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