カタゾウムシ(読み)かたぞうむし

日本大百科全書(ニッポニカ) 「カタゾウムシ」の意味・わかりやすい解説

カタゾウムシ
かたぞうむし / 堅象虫

昆虫甲虫目ゾウムシ科のカタゾウムシ属Pachyrrhynehusおよびその近縁一群の昆虫。フィリピンに多数の種が産し、ニューギニアなどにも一部が分布している。台湾南端の蘭嶼(らんしょ)(紅頭嶼)には数種、八重山(やえやま)列島にクロカタゾウP. infernalis1種がいる。10~15ミリメートルぐらいの種が多く、ひょうたん形で黒、青、緑、黄、白などの鱗片(りんぺん)による斑紋(はんもん)をもつものが多く、赤い膨らんだ点紋をもつ種もある。外皮はきわめて堅く、上ばねは左右癒着(ゆちゃく)して開かない。蘭嶼の原住民(中国語圏では、「先住民」に「今は存在しない」という意味があるため、「原住民」が用いられる)は指の力試しにこの虫を用いるという。また、青、緑の斑紋のある種は美しいので、アクセサリーなど装飾に使用されることがある。なお、ニセカタゾウカミキリのようにカタゾウに似た甲虫も知られている。

[中根猛彦]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カタゾウムシ」の意味・わかりやすい解説

カタゾウムシ
Pachyrrhynchinae

鞘翅目ゾウムシ科カタゾウムシ亜科に属する甲虫の総称。体はきわめて堅固で,昆虫針を刺すのが容易でない。吻は短く,前胸と上翅の間がくびれてひょうたん形をなす。一般に美しい青緑色の斑紋をもつものが多い。ニューギニア,フィリピン,蘭嶼島,火焼島に多くみられるが,日本では八重山諸島にクロカタゾウ Pachyrrhynchus infernalisとアカアシカタゾウ Metapocyrtus yonagunianusの2種を産するのみである。

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