家庭医学館 「かつらのいろいろ」の解説
かつらのいろいろ
医療用のかつら(義髪(ぎはつ))には、全頭(ぜんとう)かつらと部分(ぶぶん)かつらがあります。
全頭(ぜんとう)かつらは、おもに難治性(なんちせい)の脱毛症(だつもうしょう)(頭髪のすべてが抜ける全頭脱毛症(ぜんとうだつもうしょう)と、さらに眉毛(びもう)、体毛などまでも抜ける汎発性脱毛症(はんぱつせいだつもうしょう)など)の人に使用されます。発毛までには長い時間がかかりますから、その間かつらを使用することで、患者さんの精神的に不安定な状態が改善されます。
部分(ぶぶん)かつらは、やけどやけがなどによる瘢痕性脱毛症(はんこんせいだつもうしょう)、若はげ(男性型脱毛症(だんせいがただつもうしょう))などの人に使用されます。
よいかつらの条件は、装用しても外観が自然で、かつらとはわからないこと、接着が簡単なこと、激しい運動や強風でもはずれないこと、軽くて使用感や圧迫感がないことです。もちろん、むれたり、かぶれ(接触皮膚炎(せっしょくひふえん))やあせも(汗疹(かんしん))などの皮膚疾患が生じないこともたいせつです。
最近の医療用かつらの多くは人工皮膚に人毛が植毛されたもので、不自然さがほとんどなく、かなり精巧につくられています。脱毛状態の程度、種類、年齢などを考慮して、自分に合ったものを選んでください。