デジタル大辞泉
「汗疹」の意味・読み・例文・類語
あせ‐も【汗×疹】
夏季や発熱時に、汗が十分排出されず、表皮内に残ったときに皮膚にできる小さな赤い丘疹。汗瘡。かんしん。あせぼ。《季 夏》「―して娘は青草のにほひかな/蛇笏」
[類語]湿疹
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あせ‐も【汗疹・熱沸瘡】
- 〘 名詞 〙 汗が体外へうまく排出されないために皮膚にできる、かゆみを伴った赤いただれ。あわ粒程度の小さな水疱性湿疹で、からだの表面に広く分布しているエクリン腺の汗管がつまって起こる。汗疹(かんしん)。汗瘡(かんそう)。あせぼ。《 季語・夏 》
- [初出の実例]「熱沸瘡〈略〉新録方云治夏月熱沸瘡〈和名阿世毛今案沸字冝作疿乎〉」(出典:十巻本和名抄(934頃)二)
あせ‐ぼ【汗疹・熱沸瘡】
- 〘 名詞 〙 =あせも(汗疹)《 季語・夏 》
- [初出の実例]「熱沸瘡 アセボ、汗瘡 同」(出典:易林本節用集(1597))
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
汗疹(あせも)
かんしん(あせも)
Miliaria (Sweat rash)
(皮膚の病気)
汗を多量にかいたあとに現れます。夏期に多く、小児に発症しやすい疾患です。発熱性疾患の患者さんや高温の環境で作業に従事している人が発症することもあります。
多量に汗をかいたあとに、汗管(汗の出る管)が詰まって発症します。水晶様汗疹、紅色汗疹、深在性汗疹の3つの型があります。水晶様汗疹では皮膚表面の角層で汗管がふさがります。紅色汗疹では表皮有棘層で汗管がふさがります。深在性汗疹では真皮内で汗管がふさがります。
水晶様汗疹では直径1~3㎜程度の小さな水疱が多発します(図106)。かゆみや痛みなどの自覚症状はありません。紅色汗疹は赤い丘疹が多発し、軽いかゆみやチクチクした軽い痛みを伴っていることがあります。
深在性汗疹では皮膚色の扁平に隆起した丘疹が敷石状に多発します。深在性汗疹は熱帯地方や高温の環境で長時間作業に従事している人のように、繰り返し高温にさらされると現れます。深在性汗疹の発疹がある部位では汗が出なくなっています。汗疹が広範囲にあると体温調節能力が低下しているので、熱中症に注意する必要があります。
汗疹に細菌感染が加わると膿疱性汗疹になります。膿疱性汗疹から伝染性膿痂疹(のうかしん)(とびひ)や汗腺膿瘍になることもあります。
病歴を聞いて発疹を見るだけで診断は可能です。細菌感染が加わっている時は細菌の培養を行い、抗菌薬の感受性検査を行います。他の病気と区別が難しい時は病変部の皮膚の生検(組織をとって調べる)を行い、病理組織検査を行います。
水晶様汗疹は特別な治療を行わなくても自然に治ります。紅色汗疹にはステロイドクリームの外用を行います。深在性汗疹がある場合は、高温を避け涼しい環境で生活して、自然に治るのを待ちます。
細菌感染が加わっている膿疱性汗疹では抗生剤の全身投与を行います。汗腺膿瘍になった場合は、切開して排膿する必要があります。
小児に発症した時は部屋の温度が高すぎないか、厚着をさせていないかどうかに注意し、発症を予防します。かぜをひいた時も厚着をしないようにします。
水晶様汗疹、軽症の紅色汗疹は自然に治ります。かゆみや赤みが強い時、はれがある時は細菌感染が加わっている可能性があるので、皮膚科医の診察を受ける必要があります。
嵯峨 賢次
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報
かんしんあせも【汗疹(あせも) Miliaria】
[どんな病気か]
気温や室温の高い環境下にいるときに、くび、関節の内側、腹部や背中、わきの下などにできる、細かく赤い湿疹(しっしん)です。赤いあせも(紅色汗疹(こうしょくかんしん))は、幼い子ども、とくに赤ちゃんによくできます。
また、高熱が出た後に、透き通った白い小さなぶつぶつ(白いあせも)ができることがあります(水晶様汗疹(すいしょうようかんしん))。
[原因]
汗腺(かんせん)の閉塞(へいそく)によっておこります。汗腺は、おとなも子どもも、全身に200万個ほどありますが、体表面積の少ない子どもほど密に集まることになりますから、赤ちゃんほどあせもができやすいことになります。
発熱時にできる白いあせもは、皮膚の一番外側の角層(かくそう)の中に汗がたまったときにでき、赤いあせもは角層の下にたまったときにできます。
[治療]
まず、温熱、高湿度などの環境を改善することから始めます。エアコンを使用して過度の発汗を抑え、シャワーで汗を洗い流すか、冷タオルでこまめに拭(ふ)き取ります。軽いあせもであれば、これだけでも治り、薬を使うこともありません。
炎症をともない、かゆみがあるような場合には、洗浄後に塗り薬を使います。塗り薬としては、マイルドなステロイド外用剤か非ステロイド外用剤を使用するか、亜鉛華軟膏(あえんかなんこう)で湿った皮膚表面を乾燥させるようにします。
モモの葉を煎(せん)じた汁を塗るなどの民間療法は、感染をまねくことがあるため、やめたほうがよいでしょう。
出典 小学館家庭医学館について 情報
汗疹
かんしん
miliaria; sudamina
あせも。汗が皮膚表面に排泄されずに表皮内および真皮内汗管に貯留することによって生じる発疹をいう。汗の貯留部位,臨床所見によって次のように分類される。 (1) 水晶様汗疹 汗が表皮角質層内の汗管に貯留するため,無色の小水疱が多発する。高温にさらされたり高熱などの際に生じ,多汗症を合併することが多い。 (2) 紅色汗疹 汗が表皮棘層内に貯留することにより,紅色を呈する汗疹で,しばしばかゆみを伴い,掻破して湿疹化することがある。 (3) 真在性汗疹 汗が表皮棘層下部,基底層部,真皮内に貯留することによって起きる。紅色汗疹の重症型。汎発化すると発汗が停止し,熱射病にかかることがある。 (4) 膿疱性汗疹 汗疹が二次感染により膿疱化したもの。
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世界大百科事典(旧版)内の汗疹の言及
【あせも】より
…汗のために皮膚に発生する小さい吹出物で,医学的には汗疹miliariaという。汗を分泌する汗腺には,エクリン腺とアポクリン腺の2種類があり,ふつうの汗はエクリン腺から分泌されるものである。…
※「汗疹」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」