改訂新版 世界大百科事典 「カドルナ」の意味・わかりやすい解説
カドルナ
Raffaele Cadorna
生没年:1815-97
イタリアの軍人。ピエモンテ地方の貴族の家に生まれる。はじめサルデーニャ王国の士官学校に入学するが,適応できず退学,結局18歳の時に工兵隊に志願して軍人となり,有能な政治家である兄カルロの影響をうけて,軍隊の組織化と政治的な調整に能力を発揮する。1848年にオーストリアとの独立戦争のさ中にあるロンバルディアで,工兵隊の編成を手がけたのをはじめ,59年のトスカナや61年のシチリアのように,サルデーニャ王国への併合の前後の混乱期にある地域での軍隊の再編,秩序の回復にあたり,成果をあげる。彼の業績の中で特記すべきは,70年9月のローマ占領の指揮をとったことである。フランスの保護下で教皇庁が統治をつづけていたローマを,普仏戦争という微妙な国際情勢下に,大きな混乱もなく占領することに成功した。1861年に下院議員,71年以降は上院議員を歴任している。
執筆者:柴野 均
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