日本大百科全書(ニッポニカ) 「カナリーグラス」の意味・わかりやすい解説
カナリーグラス
かなりーぐらす
canary grass
[学] Phalaris canariensis L.
イネ科(APG分類:イネ科)の一年草。カナリークサヨシまたはヤリクサヨシともいう。高さ30~60センチメートル、葉は長さ10~30センチメートル、幅1センチメートルほどで無毛。初夏に1.5~4センチメートルの円錐(えんすい)ないし円柱状の穂を出す。穂には倒卵形で扁平(へんぺい)な小穂が密につく。小穂は3小花よりなり、中央の小花は両性であるが、左右の小花は退化して鱗片(りんぺん)状となる。穎果(えいか)は長さ7~8ミリメートル。根茎はない。地中海沿岸地域の原産で、日本へは江戸末期に渡来したとされる。種子をカナリーシードcanary seedとよび、小鳥の餌(えさ)とし、茎葉は飼料となる。クサヨシ属Phalarisを総称としてカナリーグラスとよぶことがあるが、この属で牧草として使われるものには本種のほかにクサヨシなどがある。
[星川清親 2019年8月20日]