日本大百科全書(ニッポニカ) 「カモノハシ竜」の意味・わかりやすい解説
カモノハシ竜
かものはしりゅう
duck-billed dinosaur
[学] Hadrosauridae
草食恐竜の仲間。二本肢(あし)歩行の1グループで白亜紀後期の、約8900万年~6550万年前に繁栄した。分類学上は鳥盤目鳥脚(ちょうきゃく)類(亜目)に属するハドロサウルス科の通称。カモノハシ恐竜、カモハシ恐竜、カモ竜ともいわれる。名称の由来は、あごが幅広く、前が平らで、カモのような角質のくちばしで覆われていたからである。この仲間には頭に奇妙な隆起をもつ属が多く、その内側には鼻管の長い通路がある。とくに嗅覚(きゅうかく)上皮細胞を発達させたらしい。一般に歯の数が多く、葉形のものが2000個ほどある。全長約10~13メートルで、尾がワニのように横に狭まり水泳に適していた。ミイラ化石から、皮膚がモザイク模様の鱗(うろこ)で覆われ、足にはパッド(足裏の膨らみ)があることが判明している。胃の中身に針葉樹類の針葉、小枝、果実など陸上植物が発見されたが、死後体内に流入した疑いもある。南樺太(からふと)(サハリン)で発掘されたニッポノサウルスもカモノハシ竜の一属。
[小畠郁生]