改訂新版 世界大百科事典 「カラカス会社」の意味・わかりやすい解説
カラカス会社 (カラカスがいしゃ)
Real Compañía de Comercio de Caracas
スペイン・ブルボン王朝が導入した株式会社制にもとづく貿易会社。ギプスコア会社ともいう。スペイン王室は,17世紀後半のオランダ,フランス,イギリスによるカリブ海地域への大々的な進出,およびスペイン国内におけるカディス,セビリャの貿易独占に対する地方商人の反発の高まりに直面し,従来のフロータス制にもとづくインディアス貿易の再検討を迫られていた。カラカス会社は,こうした背景のもとで,1728年にギプスコア(バスク地方)の商人を中心に設立されたもので,ベネズエラ地方との直接貿易権を認可され,クラサオ島を拠点とするオランダ勢力の密貿易からベネズエラ地方を解放し,スペインにおけるカカオ不足の解消に貢献した。なお同社は,ホンジュラス会社(1714設立),ハバナ会社(1740),サント・ドミンゴ会社(1755)の設立とともに,カディス以外のスペイン諸都市とインディアスとの直接貿易に道を開き,1778年に始まる自由貿易体制への移行を準備したといえる。
執筆者:清水 透
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報