カラカラ帝の大浴場(読み)カラカラていのだいよくじょう(その他表記)Terme di Caracalla

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カラカラ帝の大浴場」の意味・わかりやすい解説

カラカラ帝の大浴場
カラカラていのだいよくじょう
Terme di Caracalla

212年から 217年にかけて,ローマ皇帝カラカラの命によって造られた大公衆浴場。ディオクレチアヌス帝の浴場 (現ローマ国立博物館) ができるまで,ローマで最大の浴場であった。6世紀のゴート人の侵入以後,水道施設が破壊されて荒廃したが,19世紀以来の発掘でさまざまな彫像遺品が発見され,バチカン美術館などに収められている。広さは 330m2,中央の建物は 220× 114m,1600人の入浴が可能であった。中央にフリジダリウム (冷浴室) ,テピダリウム (微温浴室) ,カルダリウム (温浴室) が並び,その周辺にさまざまな施設が設けられた。古代ローマでは入浴は市民の最も愛好する娯楽であり,浴場には講演会場や図書館,スポーツ施設なども備えられ,文化センター的な機能をもっていたという。 1937年より始められ毎夏に行われてきた野外オペラの会場としても有名であったが,遺跡のいたみが激しく 94年中止された。

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